GS二次小説 「せめて絶望のない世界をあなたに」



第011話

夜。―――月の光さえ通さず昏く深い森の奥―――



突如、全てを呑み込む様な森の中心で眩い光が発生した。
その光は直径三メートル程迄膨らむと急速に萎んでいった・・・
そしてその光が完全に消滅し再び辺りに闇が戻ってきたとき、その場所には一人の男が佇んでいた。



男はしばらくその場から動かずじっと空を見上げていた。
そしてそれにも飽きたのかおもむろに右手を胸の前に持っていき力を籠める。
すると男の手には小さな丸い珠が現れた。そしてさらにその珠に力を入れるように握り締めた。そしてその珠は光り輝き役目を終えたのかすぐに掌から消えてなくなった。

「どうやら上手くいったみたいだな」

男―――横島はしばらく夜のある世界を感じながら思いを馳せたあと、文珠で今の自分のいる世界について大雑把に調べた。
その結果今はこの世界の横島が美神に出会う四年前であること、それ以外の人間関係や各々が歩んできた歴史は自分がいた世界と同じことが分かった。

「それにしても予想では東京タワーに出ると思ったんだけどな」

横島にしてみれば何故こんな殆ど何も見えない森の中に出てきたのか分からなかった。
あの「境界線」で本の中に入るときは特に思い入れが無い場合を除き、大抵は何かしら因縁のある場所に出る筈だったからだ。
しかし、横島はもう少し周りを確認しようとして後ろを向いたときこの場所に出て来たのか分かった。

そこには大きな岩があった。その岩は何かの封印だろうか古びた注連縄が巻かれており、その岩の正面らしきところには殆ど字が掠れて読めなくなったお札が貼られていた。

「・・・・・・殺生石・・・」

そう、それは殺生石だった。金毛白面九尾狐を封じた岩。それがそこに鎮座していた。
横島は殆ど無意識のうちに鍛え上げた心眼を展開し殺生石を観た。

「・・・まだ、寝ているみたいだな。でもよかった、俺の霊波を受けて目覚めてしまう可能性もあったかもしれないしな」

それに・・・今はまだ迎えに来れない。と心の中で繋ぎ、横島は念のために殺生石の周りに人払いの結界を文珠で作りその場を後にした。





数時間ほど歩き、ようやく民家が見え始めたとき横島はこれからの行動を考えていた。

「まず、戸籍が無い。それに金も無い。さらに言えば住む場所も無い・・・・・・ふむ、何にもないな」

鬱陶しく感じたのか腰ほどまで延びた艶のある漆黒の髪を額に巻いていたバンダナで丁度ポニーテールになるように結び横島は呟いた。

「まぁ、住む場所は何処でもいいんだが・・・やっぱり戸籍を何とかしないとな。このままだとタマモが眼を覚ましたとき引き取れなくなる」

実際は黙っていてもいいのかもしれないが、そうすると厄介になるのがGS協会や六道家率いる陰陽寮。それにまだ日本にはないがオカルトGメンの存在もある。
これらの組織が生まれたばかりとはいえ、あの玉藻御前を前世に持つタマモを放って置くはずがない。名目だけでも保護という立場をとらないといけない。実際に前の世界ではタマモは危険になる可能性があるというだけで処理されそうになったのだから。
そのためにはやはり戸籍を手に入れ、可能ならGSのライセンスを取る必要がある。しかしそれにも推薦してくれる人物が必要だし、そもそも戸籍が無いことには申請すら出来ない。

そして最終的にある一つの方法に辿り着いた。

「よし、この方法でいこう。多少こちらが不利になるかも知れないが最低限は何とかなるはずだからな」

これから執る行動を決めた横島は早速動こうとして気付いた。

「そういえば今の自分の力を確認しないと。穏行の法で殆どゼロの状態で、気配も同化しているからヒャクメでもない限りばれないとは思うが、何かの拍子でばれるかもしれないからな」

ついでに観測者の少女が言っていたように力の封印もしておこう。と考え行動に移した。

まず、タマモの殺生石と同様の人払いの結界を張り、その内側にさらに霊気などの力が漏れるのを防ぐ結界を張った。
準備も整い横島は自分の力を全て解放した。

ごごごごご・・・・・・
びしぃ・・・・・・・・・ぱきぃぃぃいい・・・!!

横島の出す霊力に結界が悲鳴を上げ、地面にひびが入る。

時間して僅か数秒にも満たない間だったが、横島は自分の今現在の力をはっきりと認識した。
数秒で力の解放を止めたのは「本」の保護機能を気にしたせいかもしれない。

「ふーん・・・身体の構成物質がヒトとは違くなったせいか力の入れ出しが随分楽になったな。これなら溜めなしで魔神剣「蓮螢/蒼竜」が創れるな」

実際には強すぎて使う機会は殆ど無いかもしれない、またもし使うとしたらどちらか一振りだけになりそうだと思った。それに両方同時に扱うには少々霊力が足りない。最低でも50000マイトは必要となる。
そして肝心の力のほうは現在で3000マイト程だということが分かった。この時点で既に小竜姫に余裕で勝てるだけあるのだから恐ろしい。
しかし、あの世界では全ての力を出した神魔族最高責任者と一対一でなら互角以上に戦えたことを考えればあまりにも脆弱だ。

「やっぱりあの俺の中に入ってきた「俺の世界」に力を持っていかれたんだろうな」

どういう原理になっているのか分からないが、少女に入れられた「世界」を横島は感じることが出来た。しかしどうやってそこから力を引き出すのか検討もつかない。
文珠を出して調べてもみたが結局力の引き出し方は分からなかった。
それにしても少女の話ではタマモの力を得てから手に入れた力だけだったはずなのに、実際にはルシオラの力に目覚めから人魔に成りたて位にまで力が落ちてしまうのだからそのショックは少々大きかった。

「まぁ、なっちまったものはしょうがないか・・・さて、力の封印はどうするかな・・・」

そう言って横島は一瞬にして右手にいくつかのアクセサリーを創り出した。

「こんなものかな?それじゃあとっとと着けて行動を開始するか・・・」

横島の創り出したアクセサリー、それは封具という横島特製の道具だった。それを右耳に三つ、左耳に二つ着けた。これは一つ一つが横島の霊力を最大値の半分にする働きがあり、つまり横島は全部つけた状態で32分の1の力しか出せなくなる。
これによりおよそ90マイトくらいの力しか出せなくなった。

横島は前の世界で霊力の収束に長けていることが分かっていた。そして横島はその持ち前の想像力で色々なものを創れるようになったのだ。そしてそれらは文珠とは違い、使ってもなくならなかった。
創り方はまず文珠で空気中や地中にある元素を変換させ欲しい金属や鉱物を創る。そしてやはり文珠でイメージ通りに加工する。そして最後にやはり文珠でその加工したものに付け加えたい能力を付随させれば完成である。
どうやら最後に能力を付随させるさいに、双文珠を使用すると効果が永続されるということもこのとき知ったことだ。

そして横島は自身の力も殆ど封印して、颯爽と既に朝日が昇り始めてきた街に下りていった。









――――――六道家

日本でも最大の力を持つ一族の一つとして知られているこの屋敷で、その女性はかつて無いほど厳しい顔をしていた。

六道冥那。現六道家当主でありGS協会の重職に就いている女性である。

「それで〜〜、その彼は何て答えたの〜〜?」

間の抜けたような口調だが、彼女の持つ観察眼と計算高さに敵う存在は殆どいない知略家である。
その彼女の質問に彼女の前の椅子に座る女性は頭を下げたまま答えた。

「はい。彼は、今此処で話すようなことでもない。それにそういうものはそちらから直接尋ねてくるものだろ?まぁ今回はいい。俺から出向くから。ということです」

「あら〜それは失礼なことしちゃったわね〜〜・・・あとできちんと謝らないといけないわね〜〜」

「そしてもう少し話を聞こうとしたところ、これから仕事が入っているからということらしく・・・」

「それで〜・・・そのままいつ来るか決めないでのこのこ帰ってきたわけね〜〜・・・・・・そんな役立たずは必要ないって分かってるわよね〜〜?」



ここ半年ほどGS協会は経済的に大打撃を受けていた。
その原因となったのはたった一人のモグリのGS。そのGSの個人的な情報は全くと言っていいほど掴めなかった。
エクトプラズムスーツを着ているのか容姿はおろか性別すら分からず、依頼者に話を聞いても確かに話はしたし契約もして料金を払っているのにも関わらず、その相手のことはあいまいにしか思い出せないというのだ。
監視カメラやテープレコーダーでチェックしようにも何故かその人物が現れている間は全く機能しなかった。

何がそこまでGS協会に大打撃を与えたのか・・・それは単純だった。
その人物はどんな以来でも全て一律300万で仕事を請け負っていたからだ。
雑魚怨霊の除霊等といったGS協会で定めたところのEランクから夢魔や水魔といった下級魔族を相手にするようなランクBのものまで。さらには明らかにランクB以上の仕事でも全て一律300万で請け負っていた。
さらに問題なのがその以来達成率だ。全て一週間以内に解決しており、その達成率も100%と驚異的な数字を記録している。
本来なら億の位までいくような仕事を300万で請け負う。GS協会に恩があってそちらに頼まざるを得ない企業や個人資産家もいるにはいたが、本心では彼に依頼したいと思っていた。
なぜならランクEからランクCまででも腕のいいGSで90%の達成率。一般的なGSで70%あれば一流と言っていいほどだったからだ。
それなのに普通なら複数人で当たるような仕事でも彼なら一人でこなし達成率100%。さらには一律300万。これで被害を受けないですむ方法を知りたいくらいだった。



そんな背景もあり六道冥那はGS協会からその人物の調査依頼を請け、可能ならば引き込む、無理でも依頼料だけでも話を付けろと言い渡された。
そんななかやっとその人物の居場所が特定でき、話をする機会を創るため使いをやったにも関わらず、ちゃんとした確約は出来ず戻ってきたその女性に冥那は責任を取らせようとした。

「ヒッ・・・ま、待って下さい冥那様!違うんです!気が付いたら既に・・・わ、私の目の前から消え、消えていたんです!!・・・ほ、本当です!だから・・・や、止め・・・」

「そんな言い訳なんか聞きたくないわ〜〜・・・それじゃあさようならね〜・・・」

そう言って自分の影からアンチラを出し攻撃をさせた。

「イヤアァァァァァァア!!!!」

その女性は次の瞬間訪れるであろう死の痛みから少しでも逃げるように座り込み眼を瞑ってその瞬間を待った。
・・・・・・しかしいつまで経っても痛みなど襲って来ず、かといって冥那のミスなんてことも考えられず、もしかしたら痛みも無く死んでしまったのかと思ったときその声は聞こえた。



「・・・物騒だな。せっかくきれいな部屋なんだから血なんかで汚したら勿体無い。それに美人を殺すのは反対だ」

「アンチラの攻撃を手で受け止めるなんて〜・・・貴方が例のモグリのGSね〜・・・」

死を覚悟した女性がゆっくりと眼を開けると、そこには黒よりも深い漆黒の髪を赤いバンダナでポニーテールにした男の背が見えた。
その男はアンチラの鋭い耳をどうやったのか左手で二本とも真剣白羽取りよろしく挟み、右手は黒のジーンズのポケットに入れていた。

「アンチラと言うのか・・・まぁ例のっていうのがどのGSなのかは知らないが、俺は彼女が来てくれと言われたから来ただけだ。そういえば誰かが俺に話があるみたいだな」

「そう〜・・・私が彼女を使いにやったのよ〜。・・・結果として貴方が来てくれたから今回は許してあげますね〜」

「何だか知らんが、よかったな。どうやらまだ生きてていいみたいだぞ」

そう言って男は女性に手を差し伸べ抱き起こしてやった。女性は生きていることに安堵しながらも男に抱き起こされたとき頬を少し赤く染めた。

「貴方と話を始める前に聞きたいことがあるんだけど〜・・・いいかしら〜〜・・・?」

冥那はそういって眼光鋭く男を射抜いた。

「ふむ、何かな?人妻とはいえ、美人からの質問なら出来る限り答えよう」

「助かるわ〜・・・それでね聞きたいことっていうのは〜貴方のお名前なのよ〜」

「そんなことでいいのか?まぁそのくらいなら答えよう。俺の名前は・・・・・・」

そう言って男は自分の名前を口にした。
この世界に来て、既にあの名前にはちゃんとした持ち主がいる。だから俺はこれからこの名前を名乗ろう。

「・・・・・・・・・・・・俺の名前は「君影鏡耶」だ」



「君影鏡耶君ね〜。君影君って呼んでいいかしら〜〜?」

「ああ、構わない。好きに呼んでくれ」

相変わらず何かを探るような目付きで冥那は鏡耶を観察している。
その視線に少々耐え切れなくなったのか鏡耶は先を促した。

「それで、俺を呼び付けた理由を教えてくれ。・・・・・・といってもまぁ、予想は着いているんだがな」

「そうね〜多分君影君が思っている通りよ〜。理由を聞かせてくれるかしら〜?」

冥那は率直に核心を突いた。

「ほう、いきなりそう来るか。そういうのは嫌いじゃない。・・・で、理由だったな」

「ええ〜」

「新参者にはこの世界は厳しいからな。ああでもしないとモグリの俺には仕事が入ってこない」

鏡耶は憮然とした態度で疲れた感じに理由を話した。

「確かにオカルトや霊障といったことは〜GS協会が独占してるわね〜」

冥那の言うとおり、こと霊障などに関しては日本の場合GS協会に連絡が行く。そしていくつかそのレベルにあったGS事務所などの連絡先を教えてもらいそこに頼むのだ。
例外として美神除霊事務所や小笠原除霊事務所などの一流と言われている事務所は個別にコネを持っているのでGS教会などからの紹介が無くても平気である。しかし、一般の除霊事務所は紹介してもらって初めて仕事が出来るのだ。

「でも一律300万はやっぱり安すぎると思うのよ〜」

「そうは言ってもこのくらいでないと仕事が入ってこないからな。どうしようもない」

「そんなこと言わないで〜せめてランクC以上は受けないようにするとか出来ないかしら〜?」

鏡耶はしばらく黙って何かを考える仕草をしていたが、少し真剣に冥那のことを見返すと切り出した。

「まぁいい。ただしいくつか条件がある」

「あら〜・・・何かしら〜?」

そして鏡耶は条件を提示した。
その条件とは戸籍が現在無いため作って貰うこと。住む場所を提供すること。GS資格試験の保証人になるか、無条件でGSの資格をくれることか。

「住む場所の提供は〜わかるけど〜・・・君影君は戸籍無かったの〜?」

もう既に予想は付いていた思うが、君影鏡耶(きみかげきょうや)は「境界線」からやってきた横島忠夫である。
この世界に来てどうやって戸籍を手に入れるか考えた結果、このような方法を考えたのだ。
確かに今六道家と接点を持つのはあまり良いとは言えないが、それでもいつかは接触するのだったら早い方がいいということらしい。
また、このような方法なら一方的に頼るのではなく対等な立場であるため借りをあまり作らずにすむとも考えたからだ。

「あぁ、ちょっと人には言えない出生だからな・・・そのせいで住む場所も借りられないし、免許なども取れない」

「ちょっと気になるけど〜・・・いいわよ〜。戸籍と住む場所に関しては何とかするわ〜〜」

「そうか、助かる。それで・・・GSの資格については?」

「それはちょっと難しいわね〜〜・・・」

冥那の話によるとどうしても資格を得るには、GS資格試験を突破して合格しなければならないということらしい。この試験は最低限の霊能力者の能力把握と同時に霊能力者の存在の調査も兼ねているとのことだ。
そして合格してもその保証人の元決められた回数依頼をこなさないと、一人前のGSとは認められず個人で事務所を経営することは出来なくなっている。
しかし、既に鏡耶の力はその辺の能力者より高いことは、その依頼内容と回数、その達成率で示している。そこで特例としてGS資格試験で優勝したときに限り冥那の後ろ盾の下、最低ランクではあるがE級ライセンスなら配布するよう手配するということだった。

「どうかしら〜・・・?私としてもこれ以上のことはちょっと無理よ〜〜」

「いや、十分だ。しかし条件が付くんだろ?まぁこっちとしてもそこまでされたら貸しのほうがなくなってしまうからな」

「そうなのよ〜・・・・・・・・・冥子を呼んで来てちょうだい〜」

冥那は自分が殺そうとした女性にそう指示を出し、彼女が呼んだ女性・・・六道冥子が来るまで待つことにした。

「冥子・・・確か六道家当主である六道冥那、貴方のご息女だったか?」

「そうよ〜・・・よく知ってたわねおばさん、関心しちゃうわ〜〜」

「世辞を言っても何にも出んぞ?・・・だが、あの噂は結構聞くからな」

「・・・それはちょっと耳が痛いわね〜〜〜・・・」



嫌な沈黙が続いたが、それはすぐに無くなった。

「冥那様。お嬢様を御連れしました」

そう言って入ってきたのは先程の女性といかにもお嬢様然とした格好をしたボブカットの美少女だった。

「お母様〜〜〜〜私に何か用ですか〜〜〜〜〜?」

母親も随分のんびり話すほうだったが、その娘もそれ以上にのんびり話すようだ。もう高校3年でいい加減いい年なのだが、この感じでは噂は本当なのだろう。まぁ時人は知っているのだが・・・

「冥子そこに座りなさい〜。大事な話があります〜〜」

「わかったわ〜〜〜。座ればいいのね〜〜〜〜・・・・・・それで話って何〜〜〜〜?」

そして冥那は冥子に話をした。それを一緒に聞いていた鏡耶はまぁしょうがないかと半分諦め、部屋に入ってきてから冥那の後ろで控えていた女性は顔を蒼くして鏡耶に同情した。

「・・・どうかしら〜〜?」

「そうだな・・・初め彼女が入ってきたときは先生でもやってくれと言われると思ったのだが、その程度なら構わない。期間も彼女がGS資格試験を受けるまでっていうのもまぁ許せる範囲内だ」

「ありがと本当に助かるわ〜・・・話しは以上よ〜〜」

「そうか、では今日はこれで失礼する」

「次回は一週間後に来てくれるかしら〜。その時までには戸籍と住む場所は用意しておくわね〜〜」

「わかった。一週間後の同じ時間にまた来る」

そしてその一瞬後室内に風が吹いたと思ったら既に鏡耶の姿は何処にもなかった。



「お母様〜〜〜結局なんだったの〜〜〜〜?」

「は〜〜〜・・・あなたは何を聞いてたの〜〜!・・・これからの除霊の際の付き添いはさっきの君影君に頼んだのよ〜〜」

冥子は現在六道除霊事務所で見習いとして仕事を手伝っている。しかしどういうわけか冥子は気が弱くすぐに泣き霊力を暴走させてしまっていた。
普通のGSならまだ霊力の暴走といっても壁に大穴が開く程度なのだが、これが六道冥子になると話が変わってくる。それは六道家が代々使役している式神が十二神将だからだ。
また、冥子は才能だけならかなり良く既に霊力も70マイトは超えており、人界ではほとんどトップと言える。それが暴走し、しかも暴走するのが十二神将なのだから結果としてすごい事になる。
まぁ、これが噂になっている六道家の問題児、六道冥子のプッツンなのだが・・・
GSの資格がないとはいえ冥子は六道家を将来背負うことになる。そこでこのままでは良くないと考え冥那は鏡耶にサポートを頼んだのだ。
上手くプッツンを直せれば良し、そうでなくても彼と接触を持てば何か彼のことが分かるかも知れないと考えたからだ。
それ以外にも、もう冥子と一緒に行動してくれる事務所の人間がいなくなってしまったというのが本音かもしれないが・・・

「それに〜これで多少は男嫌いも直るかもしれないしね〜・・・」

なにやら不穏なことを言っているが、冥子は結局母親が怖いらしく最終的には従うしかなかった。
そんな冥子を話は終わったからと後ろに控えていた女性に言って部屋から追い出し、冥那は考えていた。

「君影君は何者なのかしら〜・・・結局何も分からなかったわ〜」

鏡耶が請け負ったとされる仕事の一覧を見ながら冥那は思考の海に沈んでいった。
明らかに一人で行うには無理な依頼を一人で済ませ、それにかかった時間もおよそ一人で行ったとは思えないほどの短時間。また、夢魔など普通には除霊が無理な依頼も平然とこなしていたらしい。他人の夢に侵入するなんて普通の霊能力者には到底無理なのに。
また、彼から感じた霊力にも不思議に思った。意識的に霊力を隠せるだろうことは会ってすぐに分かった。しかし霊力測定器を隠して測定した結果はおよそ80マイト。確かにトップクラスの霊力だが、それだけではアンチラの攻撃を止めた理由にはならない。アンチラの攻撃は音速に近いからで到底肉眼では認識できない。意識加速や超加速が使えれば話は変わってくるが。
そしてそれも否定する。どちらも行うには膨大な霊力が必要となる。80マイト程度では到底無理だと考えたからだ。実際は既に人間とは身体の構成が違うため、普通に視えて普通に掴んだだけなのだが流石にそこまでは分からなかったらしい。
そんな風にあれこれ考えているうちに六道家の一日は更けていった。









つづく
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あとがきのようなもの

うわ〜冥那と冥子の口調難しすぎ・・・どうやっても上手くいかないし。なんかコツとかないのかな〜

どうも、Mirrorです。ついに始まりました!これからどうなるんだろう・・・

冥子の母親登場です。名前は六道冥那(ろくどうめいな)だれか既にこの名前使っている人いたかな?いたらごめんなさいです。
あと、逆行横島君名前決定です。君影鏡耶。いろいろ考えて頭の中がごちゃごちゃになった結果こんな感じになっちゃいました。
意味はあるような、ないような・・・だめじゃん!


今回からある意味本編なので一話の長さを長くしてみました。長さってどのくらいがいいんですかね?量としては今までのおよそ2倍です。
あと、いまいちGS美神ワールドの時間経過が分からないのですが、知ってる人いましたらもしくはそういうのが分かるHPがあったら教えて欲しいです。・・・勉強不足でごめんなさい。

あと、前回のたくさん引っ張り出した作品ですが、あんなにたくさんのレスありがとうございました。私が好きな作品のなかから無作為に選んだ結果です。全部の答えは次回に載せますね。
さらにいえば「書の魔獣」知ってる人がいてかなり嬉しかったです!ありがと〜!!いいですよね。全部じゃないですが、結構持ってますよ!ほんとは全部欲しいですが。

それではこれからも感想や誤字脱字指摘などなど待ってます!





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