GS二次小説 「せめて絶望のない世界をあなたに」



第020話



日本武道館。
普段は柔道や剣道の大会、または有名歌手のコンサートを開くこの場所は、今閑散とした雰囲気に 包まれていた。

GS資格取得試験

それが今日開かれているイベントの名前だった。
そしてその開場の入り口に一台の黒塗りの車が入ってくる。 正面入り口の前で停車した車から降りてくるのは一人のまだ幼さの残る女性。

「運転〜〜〜ありがと〜〜〜」

気が抜けてしまうしゃべり方だが、周りにいる今大会に出る出場選手は彼女を見て己の不運を呪った。

「おい・・・あいつは・・・」

「六道の・・・・・・」

「くそっ・・・合格枠が一個減る・・・・・・」

「二次予選で当たらなければ・・・・・・」

周りはがやがやとその女性について話す。しかし当の本人は特に木にした風でもなく受付に向かった。

「受付って〜〜〜〜、ここ〜〜〜?」

その女性に話しかけられた受付の担当は受験票の提示を求める。
女性は受験票を手渡しながら自分の影に向かって話しかける。

「インダラちゃ〜〜ん。頑張って君影さんに〜〜〜〜褒めてもらえるようにしましょうね〜〜〜」

そう言うとその女性の影から一体の角の生えた馬が飛び出してきた。
周りで彼女を観察していた他の受験生は、彼女の名前をその馬の形をした式神をみて確信した。

「六道冥子さん、121番が受験番号です。間もなく一次試験がありますので、会場内でお待ちください」

受付が終了し、名前が呼ばれたので一時インダラと話すことを中断し番号札を受け取る。
そして女性・・・六道冥子はインダラの背に乗って移動を始めた。





武道館に繋がるようにある喫茶店。そこに二人の男女がお茶を飲み交わしていた。

「へー、それじゃあ今はその人の娘を預かってるワケ?」

「ああそうなるね。ただこれがなかなか付き合い方が難しくてね」

「それはしょうがないワケ。そのくらいの年齢妙に反発したくなったりすることがあるワケ。 私もそうだったし」

「おや?それじゃあ今は反発しなくなったのかい?」

意地の悪い笑みを口元に浮かべならが男性は一口冷え切ったコーヒーを口にした。
それに対し女性も負けじと言い返す。

「今はそれなりにきちんと考えてるワケ。意味もなく反発するのは何も知らない、 知ろうとしない馬鹿な奴だけなワケ」

「随分きついね。・・・・・・まぁ、年は近いからもし会うことがあったら友達にでもなってくれないかな?」

「それは相手次第なワケ。・・・・・・まぁ縁があれば勝手にそれなりな関係になるワケ」

そう言って彼女は自分の腕時計に目をやる。
それに気付いた男性も時間を確認し、時間が来たことを知った。

「あー、そろそろ時間なワケ。合格は間違いないと思うけど、やっぱり緊張してきたワケ」

「ははは。随分柄じゃないことを言うね?・・・・・・いやはや冗談だよ、そう睨まないで欲しいな。 それでは私のことはいいから気を引き締めて行ってきなさい」

くれぐれも油断だけはしないように。そう言う男性は神父の格好をしており、少々髪の毛が薄い。
「分かったワケ。久しぶりに唐巣神父に会えて良かっワケ。師匠が生きていれば きっと師匠も会いたかったと思うワケ」

彼女は自分の今は亡き師匠を思う。彼女にとって見れば師匠より強い存在はいないとまで 思えるくらい、彼女の師匠は強かった。
しかしその師匠は自分が使役していた魔族に殺された。
・・・・・・そう、彼女と彼女の師匠は呪屋だった。
同じく彼女の師匠を知っている唐巣神父はその彼女を見て、複雑な思いもしたが 彼女自身がこの道を選んだのなら自分は何も言うまい、そう思った。
「彼とは長い付き合いだったからね。・・・さて、本当にもう時間が無い。私は一足先に第二試験会場の 観客席で待たせてもらうことにするよ」

そう言うと唐巣神父はゆったりとした足取りで会場内に入っていった。
ひとり残された唐巣神父と話していた特徴的な話し方をする女性は選手入場口に向かうために、 唐巣神父とは違う方に足を進めた。

そして選手入場口に近づくにつれ、その女性は前方でなにやら騒いでいることに気付く。

「もうなんなワケ?これじゃあ先に進めないワケ。・・・・・・ちょっと通してもらえる?」

そう言って彼女は道を譲ってもらいながらその中心に進んでいく。
次第に騒ぎの中心から零れる声がはっきりとしてくる。
どうやら式神を連れて歩いている受験生に、周りの迷惑になるからとっととしまえという内容らしい。
確かにそれは迷惑だろう。しかも見ると角の生えた馬の式神だ。
聞いたことがある。あれは有名な六道家の十二神将の一体だ。名前までは思い出せないが、 その女性はこのままでは埒が明かないと思い、仲介することにした。

後に彼女・・・・・・小笠原エミは語る。あれほど自分の姉御気質を後悔したことはないと。





彼女はそれを見つけてしまったとき己の運の無さを呪った。
彼女は今世話になっている教会のあまりの貧乏さにいい加減耐え切れなくなり、 だったら自分で稼ぐ!ということでかなり無理を言って保護者代わりの神父に受験を許可してもらった。
そして、いざ億万長者の道へ!!と行きこんだところに、ほんの二ヶ月前に六道女学園を 卒業した一つ上の先輩を見つけてしまったのだ。

「おはようございます。六道先輩」

声をかけられた冥子は自分を先輩付きで呼ぶ女性に振り返った。

「あら〜〜〜?っていうことは〜〜〜〜・・・ウチの学校の生徒なのかしら〜〜?」

「美神令子といいます。先輩も受験するんですか?」

「令子ちゃんね〜〜〜。私のことも名前で呼んで欲しいな〜〜〜・・・ダメ〜〜〜?」

いきなり自分のことをちゃん付けで呼ぶ目の前の先輩の、その口調にやや口元を引き攣りながらも 極力平静を保ちながら令子は話す。

「いえ、流石に先輩を名前「冥子〜〜〜」では・・・」

「あの、だから先ぱ「冥子〜〜〜」い・・・」

「そういうわけ「呼んでくれないと〜〜〜、お母様に言って〜〜〜受験資格を取り消ししちゃうわよ 〜〜〜」には・・・・・・・・・・・・あああ!!もう分かったわよ!冥子でしょ、冥子と呼べばいいんでしょ!?」

ついに我慢の限界と半分脅しの冥子に負けを認め、令子は叫んだ。

「ありがと〜〜〜。これで令子ちゃんとはお友達ね〜〜〜」

「・・・・・・は?」

その言葉に令子は止まった。

「お母様が言ってたの〜〜。名前で呼び合えるようになったら〜〜その人とは友達よ〜〜〜って〜〜」

「それは先「冥子〜〜」・・・冥子が勝手に・・・「私のお母様は理事長よ〜〜〜ぼそ」 〜〜〜っ!!負けました、友達です。友達でいいわよもう・・・」

「令子ちゃんってやさしい〜〜」

そういって令子に抱きつく冥子。突然の冥子の行動に驚きながらも令子は何とか引き剥がそうとする。

「わかったから離れろー!!・・・っとにもう・・・」

なんだかんだやっても性格と、美神の名で友達と呼べる存在がいなかった令子は冥子の言葉に 頬を緩めていた。
そこでふと令子は気付く。自分と冥子を見つめる一対の視線に。
令子が視線を感じた方に眼を向けるとそこには馬がいた。

「馬?・・・なんで馬?っていうか馬?」

なにやら意味不明なことが口から洩れてしまうのもしょうがないだろう。
突然自分達を見つめる存在と目が合って、それが馬だったとしたら・・・

「えっとね〜〜、この子はインダラちゃんっていうの〜〜〜〜。仲良くしてね〜〜〜」

そう言ってインダラを紹介する冥子。紹介された令子は初め意味が分からなかったが、 次第に落ち着きを取り戻して冥子の言っていたことを把握しようとした。

「インダラっていうと・・・六道家の十二神将にそんなのがいたわね・・・・・・」

ぶつぶつと考え事を溢しながら令子は続ける。

「・・・いや、そんなのはどうでもいいのよ。問題は何故ここにいるのか・・・ってまぁ冥子が 契約者だからなんだろうけど。でも何で出しているのよ・・・・・・最近は仕事場以外では 式神を出すこともないっていう噂だったのに・・・いやいや問題はそこじゃない。 問題は・・・・・・」

そして令子はばっと顔を上げて冥子を見た。

「な〜〜に〜〜〜?」

「何?じゃなーーい!なんだってこうごみごみしているこんなところで、そんな図体のでかい 式神を出してるのよ!周りの受験生に迷惑でしょうが!!唯でさえここは狭いっていうのに これ以上暑苦しくしてどうするよ!私は汗のにおいって嫌いなの!とっととその式神をしまいなさい!」

「え〜〜〜せっかくインダラちゃんも〜、新しい友達が出来て嬉しそうなのに〜〜〜。 そうだ〜〜〜、令子ちゃんもインダラちゃんに乗ってみる〜〜〜?」

「だーーっ!もう、なんで私はこんな奴に声を掛けちゃったのよーー!? これも全て神父のせいだわ!目上の人には挨拶しろって五月蝿かったから・・・ こうなったら今日帰ったら文句の一つも言わなきゃやってられないわよ!」

令子がこの世の理不尽さにいろいろと文句を言うのを冥子は楽しそうに見ていた。
実は冥子、今日の試験に美神令子が参加するのを前から知っていた。
学園を卒業してからはせっかく仲良くなることが出来た友達とも疎遠になり、 少々寂しい思いをしていた。というのもやはり六道の名前は重く、クラスで仲が良かった 者たちも卒業してからは冥子としてではなく、六道家の冥子として接しないといけないことを 何処かで分かっていたためだった。



そんな冥子を気にかけていた冥那は鏡耶に相談。そこで鏡耶からこんなことを言われたのだ。

「冥子?・・・・・・なるほどな。と言っても俺には友人の斡旋なんて無理だからな。でもそうだな・・・ 六道の名前を気にしない人間だろう?しかも同年代の女性となると・・・・・・」

「そうよね〜〜・・・・・・やっぱりそう簡単に見つからないわよね〜〜〜」

「・・・・・・いや、少しばかり心当たりがある」

鏡耶に相談したものの、こればかりは無理だと思っていた冥那だったが、その意外な鏡耶の 返答に目を輝かせた。

「本当〜?」

「あぁ。確かあの美神美智恵には娘がいただろう?何て名前だったかな・・・?」

「え?美智恵ちゃんの娘さん?確かにいるわよ〜〜令子ちゃんね〜〜〜」

「令子か。で、その娘も今度のGS資格試験に参加するそうだ。 この間たまたま会った唐巣神父が言っていた。なんかものすごくやつれていたが・・・」

「唐巣君〜〜?そういえば令子ちゃんは今彼の元で面倒見ているって報告があったわね〜〜」

なんで突然美神令子の話をするのかと考えた冥那だが、鏡耶が言わんとするところをすぐに気付いた。

「確かに美智恵ちゃんの娘なら〜〜〜冥子といい友達になってくれるかも〜〜。 ありがとう鏡耶君〜〜〜」

「あとはどうやって引き合わすかだが、それは冥那の方で考えるんだな」

そう言って鏡耶は脱ぎ散らかしたままの服をかき集め、それを身に纏うとさっさと冥那の寝室から 出て行った。



そもそもなんでお金を取らないのよ!と唐巣神父の愚痴をぶつぶつ言っていると、ふと冥子が 自分を楽しそうに見ているのに令子は気付いた。

「何よ」

ぶっきらぼうに令子は言う。

「何でもないわ〜〜」

さも楽しそうにくすくすと笑いながら言う冥子。

「そんな風に言われても何でもないように思うかーーーっ!!」

そして令子は叫んだ。
全ての理不尽さを全て声に込めて。
それはもう思いっきり叫んだ。

そして返ってきたのは第三者の声だった。

「ちょっとおたくら静かにして欲しいワケ!続けるなら何処か他所でして欲しいワケ!」

その声に反応する2人。

「誰よ!」

「はじめまして〜〜〜」





一同に会す三人。

「で、アンタは誰よ?なんか用?今取り込み中なんだけど」

「相手に名前を尋ねるときは自分から名乗るワケ。おたくはそんなことも知らないワケ?」

ふふんと見下すように返すエミ。既にここに来た目的は忘れてしまったらしい。
そして令子はそんなエミに対して言い返す。

「ふん。じゃあ別に誰だっていいわ。アンタには関係ないことだからさっさと向こうへ行っちゃいなさい」

そう言って一次試験会場を指す。

「なっ!・・・・・・そう。ならおたくはずっとここでその子と痴話喧嘩でもしていればいいワケ」

「痴話っ・・・っ!!ちょっとそれは聞き捨てならないわね。何処から見ればそう見えたのよ!?」

「あら、こんなところで言っちゃっていいワケ?」

「何を言うつもりか知らないけど勝手にすればいいじゃない!・・・・・・・・・この色黒女」

「色ぐ・・・・・・っ!!おたく私が気にしている事を・・・」

ピクリとエミのこめかみが痙攣する。

「あら〜?気にしてたんだ。それになんか変な化粧までしてるし・・・・・・ぷっ」

わざとらしく嗤う令子。その目を見ればからかっているのは分かる。 分かるがそれとこれとは別問題だ。それにこの化粧を侮辱するということは小笠原エミの 呪術士としての全てを侮辱するようなものだ。なによりこの化粧を教えてくれたのは 今は亡き自分の師匠なのだから。

「・・・・・・・・・わかったワケ。おたくとは本戦で白黒つけてやろうじゃない」

さっきまでと雰囲気が変わったことに気付いた令子はどこかに失言があったことに気付くが、 生来の天邪鬼っぷりと先ほどまでのこともあって謝るという選択も無く言い返す。

「いいわよ。その勝負受けてやろうじゃない。そうねーただ勝負するんじゃあつまらないから 何か賭けをしない?」

「面白そうじゃない。いいワケ」

「じゃあ負けた者は勝った者が望む場合、可能な限り仕事のヘルプをしなければならない。っていうのは?」

「その言い方だと、独立することが決定事項に感じるのは気のせいなワケ?」

「あら?私が独立するのは決定事項よ。・・・・・・成程、つまりアンタはそんな自信すらないと・・・」

「言うじゃない。おたくは誰にものを言っているワケ?この小笠原エミに勝負を挑んだことを 後悔するといいワケ」

不敵な笑みをして令子を見返すエミ。

「ふん。アンタこそ負けたときの言い訳でも考えてなさい。美神令子の辞書に敗北の 二文字は無いことを教えてあげるわ」

見たものが思わず引く嗤いを浮かべ、睨み返す令子。

「ふふふふふふふ・・・・・・」

「フフフフフフフ・・・・・・」

二人が不気味に嗤いながら対峙していると、既に二人の中から忘れ去られた存在から声がかかった。

「令子ちゃ〜〜ん、ずるいわ〜〜〜。令子ちゃんだけお友達を作るなんて〜〜〜。 小笠原エミさんね〜〜〜・・・・・・私は〜〜六道冥子って言います〜〜冥子って呼んでね〜〜〜」

突然話しかけられたエミは気を取られてしまい反応に窮するが、冥子は気にも留めずに先を続ける。

「それで〜〜お話は終わったかしら〜〜〜?そろそろ私は出番だから先に行くわね〜〜〜」

そう言って冥子はさっさと自分だけ試験会場に向かっていってしまった。もちろんインダラは出したまま だったが。
そして残された二人は・・・

「何あれ・・・?私のさっきまでの努力と苦労は一体・・・・・・」

「ま、まぁ気にしたら負けだと思うのはきっと正しいワケ」

「ありがと・・・って何で私がアンタに礼なんて言わないといけないのよっ!」

「ちょっと五月蝿いワケ。私もそろそろだから行くけど、おたくはいいの?」

「行くわよっ!あーもう何なのよ!」

どこか釈然としない思いを感じながら令子は会場に向かう。エミは厄介な相手と知り合ってしまった と諦め半分で会場に向かった。
そして二人が思うのは・・・・・・

「「きっと長い付き合いになるわね(ワケ)・・・・・・そして六道冥子には振り回されるんだろうな・・・」」

というある種の予感めいたものだった。





「121番!六道冥子選手、第一次予選通過!」

「165番!小笠原エミ選手、第一次予選通過!」

「277番!美神令子選手、第一次予選通過!」

会場の一番後ろ。誰からも特に注目されない場所に気配を隠してその放送を聴いている者がいた。

腰まである黒く艶のある髪。真紅な瞳。真っ赤なバンダナで髪を首元で纏めているその姿は 紛れも無く前回GS資格試験優勝者の君影鏡耶。
その鏡耶に付き添うように並んでいるのは、その豊満な胸を強調するように四角で切り抜かれた 真っ赤なチャイナドレスを身に纏った金髪の女性。髪を九つにまとめ、放送には興味が無いのか 鏡耶の顔を飽きることなく見つめている。

「名づけるなら運命の邂逅ってところか?」

タマモには一瞥もしないで思ったことを言う鏡耶。

「どうかしらね?運命って今となっては嫌いな言葉の筆頭だし・・・私にはどうでもいいことよ」

どこか拗ねているように聞こえるタマモの顔を見れば、やはり頬をすこし膨らませ見るからに 拗ねている態度を取るタマモがいた。

「なんだよ。そんなに俺が彼女達を気にするのが気に入らないならそういえばいいだろう?」

「そういう問題じゃないのよ。微妙な乙女心ってやつなんだから」

「それならそれでやっぱり気になるが・・・はぁ」

乙女心と言われて何も言うことが出来なくなった鏡耶はため息を吐く。

「ま、それは置いておいて・・・誰が勝ち進むかな?」

女は気まぐれとはよく言ったものだな・・・と既に機嫌の直ったタマモの頭を撫でながら鏡耶は言った。

「まぁ十中八九冥子が優勝だろうな。前のときは知らないが、今の冥子に勝てるのは現役の一流GSでも 殆んどむりだろう」

「あーやっぱり?じゃあ次点は?」

「まぁ妥当なのは美神令子か小笠原エミってところだが・・・くじ運次第ではどうだろうな」

鏡耶はラプラスのダイスを振りに行く冥子達を目で追う。
次々と埋められていくトーナメント表の選手欄。そして全ての選手がダイスを振り、 そのトーナメント表が電光掲示板に表示される。

「げっ!」

「うわっ・・・」

「あら〜〜〜」

気配を追っていた方からそれぞれ違った意味合いの声が聞こえる。
その中でも鏡耶は短期間だったとはいえ、指導をした冥子が楽しそうに声を上げたことに驚いた。

「この変化がどう影響するか・・・しないか分からないが、個人的にはいい方向に育ってくれてよかった」

珍しく屈託無く笑みを浮かべる鏡耶。その表情を見れたことに嬉しさがこみ上げてくるタマモだったが、 それ以上にそんな顔を浮かべさせた冥子に嫉妬を覚えた。

そしてタマモも鏡耶と同じように電光掲示板を見る。

「へーなんか面白いわね。こういう風になるとは思わなかったわ」

「だろう?ラプラスの魔もなかなか面白いことをする」

タマモの言葉に同意する鏡耶。
その掲示板を見つめる顔は楽しくてしょうがないといった感じだ。

掲示板には128人の名前が書いてある。二回戦を突破できれば晴れてGS資格の取得となるが・・・
冥子の名前は左から39番目、令子の名前は左から34番目、そしてエミの名前は左から45番目に 書かれていた・・・

「つまり順当に行けば3回戦で美神令子VS六道冥子、4回戦でその勝った方VS小笠原エミという ことになるわね」

「ああ。それじゃあ俺たちも場所を移動するぞ」

そして鏡耶たちは二次試験がよく見える場所を確保するために移動を開始した。







GS資格試験第二次試験が開始される――――――







つづく
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あとがきのようなもの

小笠原エミは令子とタメの設定ですが、彼女はこのとき既に呪術士で生計を立ててる苦労人です。

はい、随分と更新が滞っていたMirrorです。
それにしても、今回は短い・・・orz
カウンターが回っていたので巡回の一つに加えてもらったんだなってことはとても嬉しく思います。
更新のスピードはまちまちですが、きちんと書いていくので末永く見守ってください。

今回はさほど展開があったわけではありません。それは読んでいただければ分かると思います。
ようやくここまできた!って感じですが、まだこの世界の横島くんは出てきてすらいないので、 まだまだ先が思いやられます。
これからますます登場キャラが増えてくるGSの世界、上手く全員を動かせるよう日々進歩が 出来るようがんばっていきます。


それではまた次のあとがきのようなもので・・・





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